アメリカ人のベテラン女性教師マーガレット・へインズ・ヤマグチが英語のレッスンを通してお子様の想像力と思考力を養い、世界へ羽ばたく、個性豊かなエリートに育つお手伝いをします。
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日本の英語教育はこれまであまり功を奏してこなかった。以前このブログ(2014.01.27)で書いたように、軸足が日本語にあったからだ。そのため政府は、ネイティヴによる小学校早期教育や、大学センター試験から英文和訳を取り除き設問を英文にするなどの改良をし、更に国際的に認められている標準テストを大学入試や卒業に課すことなどを検討している。
現在この英語学習のトレンドをビジネスチャンスと捉えて大資本の教育産業が英語学習に参入している。国家的に英語学習のベースが広がれば、当然質も向上するから、現在の状況は全体的には好ましい傾向に違いない。
しかし教育にしろ、医療や薬品にしろ、本来人々に貢献するはずのものでも、金儲けと結びつくと資本の論理と結びついて、利潤追求が至上命題になり、おかしな様相を示す。時に重大な副作用を発現することもある。歴史的事実として、国の助成金制度を悪用して詐欺まがいの経営をし、多くの外国人教師を露頭に迷わせ、多くの生徒から授業料を詐取しながら、社長は巨額の富を得て豪勢な暮らしをしていたために、国から糾弾された大手の英語学校があった。「駅前留学」とか「・・キッヅ」というキャッチフレーズは今でも多くの被害者の記憶に焼き付いている。
自分たちのやり方や価値を信じて主張している人々を批判するつもりはないが、英語学習の宣伝を見た時、一瞬立ち止まって考えてみるのも必要なことではないか? たとえば「聞き流しているだけで英語がペラペラ」という広告は私には「メジャー・リーグの試合を見ていると一流の野球選手になれる」というのと同じに聞こえる。そんなにものごとは簡単にはいかないと思う。それから最近よく聞かれる表現に「英語耳」というのがある。これは赤ん坊の時からナマの英語音に触れておくと、英語ができるようになるという主張だ。これは確かに正しい。日本語の音と英語の音の根本的な違いはいったん日本語音の体系が子供の中に出来上がってしまうと、英語音の習得は不可能になる。たとえば、英語の発声は横隔膜を使う。日本語はのどを使う。音節の長さが違う。リズムが違う。英語のリズムはシェイクスピアのセリフと同じアイアンビックである。日本語は、5、7、5、など間の取り方はあっても、リズムはない。赤ん坊にネイティヴのナマの音を聴かせれば、無意識にそういうものを習得する。それがいわゆる「英語耳」が身につくということである。
しかし言語の要素は「音」だけではない。「意味」が伴わなければ意味がない。そしてさらにその言語の「構造」(文法)を知る必要がある。それを全部やって、初めて外国語をマスターしたことになる。
私の個人的な経験からすると、幼児からネイティヴの教室を渡り歩いた英語虫の子が大学受験になるとあまりうまく行かないことがある。たぶんそれは発音や挨拶など日常会話に注意を集中したために、内容のある論説や読み物に注意を払わなかったから、つまり言語学習の「意味」のレヴェルを意識しなかったからではないかと思っている。
現・衆議院議長の伊吹文明がかつて文部大臣をやっていた時、彼は英語の早期教育にはあまり賛成していなかった(最近の自民党のトレンドの中では異分子)。理由は、私が理解する限りでは、人間は一つの言語で思考をしている。まだ日本語での思考も確立していない子供に外国語を注入すると知的に混乱してしまうという根拠であったと思う。それが正しいかどうか私には分からない。スイスなどはドイツ語、イタリア語、フランス語の3言語が公用語だ。またカナダでは英語とフランス語が公用語だ。彼らが知的に混乱しているかどうか私には分からないが、伊吹文明の危惧はあながち100% 的外れともいえない部分がある。つまり早期教育では日常会話などを重視して、骨のある内容を外国語で理解するところまで意識が行かないことが多い。やはり子供はしっかりと日本語での思考力を伸ばし、外国語を別腹メニューにするのが良いと私は考えている。(「別腹」というのは、世俗に言う、主食以外のアイスクリームやクッキー、チョコレートなどがはいるところのことです。)
そして外国語、この場合英語を学ぶとき、「音声」だけではなく、「内容」と「構造」まで意識する必要がある。そしてさらに教育は、子育てと同じように人間がやるもので、ロボットや機械に任せてはいけないと思う。
(今日のブログは、アメリカン・ハウス英語教室の顧問・山口 隆一が書いた。)
2014.07.20
アメリカン・ハウス英語教室 マーガレット へインズ ヤマグチ
http://americanhouse.aikotoba.jp
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